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【数学】無限小と超実数

by 下河有司
Nov 20, 2024

ニュートンとライプニッツが17世紀に微分と積分を考案して以来、極限をどのように扱うべきかは数学の重要な問題でした。

ライプニッツは、1/∞ を0ではない数(無限小)として捉えていました。このように ∞ をひとつの「数」とみなして無限小を扱う研究方法は無限小解析(むげんしょうかいせき)と呼ばれています。

無限小解析は、長い間主流の考え方でしたが、数学としてそれを厳密に正当化する事はできませんでした。

19世紀前半になると、コーシーやワイエルシュトラスの手によって、ε-δ 論法(イプシロン-デルタろんぽう)と呼ばれる方法が開発されます。この方法は ∞ を「数」ではなく「手続き」に読み替える論法です。これは極めて厳密に極限を取り扱う方法を提供してくれました。

この論法が広まると、上で見たような ∞ を「数」とみなす考え方は廃れていきました。

ただし、このε-δ 論法はとても抽象的で、物理学や工学など数学を応用する立場からは、あまり使い勝手が良いとは言えません。

しかし1960年代、アブラハム・ロビンソンが超準解析(ちょうじゅんかいせき)と呼ばれる新しい解析学を確立したことで状況が変わります。

これは実数を拡張した超実数(ちょうじっすう)と呼ばれるものを用いる研究方法です。

この超実数は、ライプニッツの無限小解析を念頭に置いており、例えば無限大(どんな実数よりも大きな数)や無限小(どんな実数よりも小さい数)を含んでいます。

実は、物理学者や工学者は、「厳密ではないけど使いやすいから」という理由で無限小などの概念を昔から使っていたのですが、ロビンソンはそんな「応用として使いやすい無限」の概念に数学的な裏付けを与えたと言っても良いでしょう。

無限小を使った応用例を載せておきますので、参考にしてくださいね。(画像なのでWEBブラウザからご覧ください)

■無限小の定義と微分における取り扱い Δx : 有限の差分

■応用例:無限小を使った積の微分公式の導出

 

 

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